パーキンソン病センター

外科的療法

脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation)

 DBSと略します。パーキンソン病は基本的には薬で治療しますが、いろいろな薬を使っても症状が良くならなかったり、病気が進行して薬の副作用や薬の効き目が悪くなったりした場合に行われる外科治療です。
パーキンソン病そのものを治す根治的な治療ではありませんが、症状をよくすることができる有効な治療方法の一つです。脳の深部に細い電極を埋め込んで耳のうしろから鎖骨の下までコードを皮膚の下に通して刺激装置を埋め込みます。(図1)
刺激装置は刺激の場所や強さを皮膚の上から調整することができ、刺激を入れたり切ったりすることもできます。
 
図1

DBSを行う患者さん

 適応になる患者さんは主に2通りあります。一つは日常生活に支障を来すような強い振戦がある患者さんです。(図2)
薬ではなかなか効果が得られない症状ですが、視床や視床下核という脳深部の構造物に電極を入れて刺激すると効果が得られます。刺激の条件を設定することによって振戦を完全におさえることもできます。
もう一つは薬の効果が落ちてきて、オンとオフの時間がはっきりしてきたり、オンの時に体が勝手に動いてしまうジスキネジアが強く出てしまう症状がある患者さんです。視床下核や淡蒼球内節という脳深部の構造物に電極を入れて刺激すると、ジスキネジアが軽減し、オフの状態での動きがよくなります。(図3)
図2
図3

手術の方法

 手術は基本的に2回行います。1回目は頭に定位脳手術装置をつけて(図4)、MRIで脳深部の構造物の位置を確認します。(図5)
髪の毛の生え際から3−4cm後のところで4-5cm皮膚を切って、頭の骨に100円玉ぐらいの孔をあけます。ここまでは点滴から麻酔薬を入れているので患者さんは寝ている状態で手術が進行します。
次に脳の表面を出して細い電極を脳深部に向けて挿入します。脳深部の構造物を確認するために脳の電気活動を記録する必要があります。このためここから麻酔薬を中止して患者さんには目を覚ましてもらいます。手足を動かしたり、患者さん自身に手足を動かしてもらったりして、最終的な目標とする構造物の位置を確認します。(図6)
位置が決まったら電極を挿入します。その後また麻酔薬を入れて患者さんには寝てもらいます。一旦電極を皮膚の下に埋め込み、皮膚を縫合して1回目の手術が終了します。手術時間はだいたい4時間前後です。1回目の術後に電極が入っただけで症状がよくなる患者さんもたくさんいますが、まだ刺激をしていないので症状は少しずつもとに戻ります。
 その後2−3週間してから刺激装置を埋め込む2回目の手術を行います。2回目の手術は全身麻酔ですので、目が覚めた時には手術は終わっています。頭の皮膚の下に埋め込んだ電極のコードを耳のうしろの皮膚の下を通して鎖骨の下の皮膚に埋め込む刺激装置と接続します。手術時間は片側で1時間弱、両側で1時間半ぐらいです。
図4
図5
図6

手術後の調整

 2回目の手術のあと刺激を開始します。一番効果が得られる電極の位置、刺激の強さなどの条件をリハビリで評価しながら探します。
ある程度の効果が得られれば退院となりますが、通常退院後3ヶ月ぐらいでもう一度入院してもらい、刺激の調整を行うことが多いです。手術の効果が大きければ薬を減らす調整も必要になってきます。
刺激の条件はいつでも変えられるので、その後も1年ごとや調子が悪い時などに入院して調整したり、外来で調整したりしていきます。