
パーキンソン病は中脳にある「黒質」という部分のドーパミン産生細胞の原因不明の細胞死によるドーパミン不足に起因する病気です.パーキンソン病の有病率は1000人あたり1人ですが,高齢化社会になって患者が増加しつつあります.
ドーパミンが不足すると,体の筋肉が硬く縮まったようになる「筋固縮」,動作全般が遅くぎこちなくなる「無動・寡動」,手や足,あごなどがふるえる「振戦」,体のバランスがとりにくく転びやすくなる「姿勢反射障害」などの症状が出現します.これらがパーキンソン病の4大症状ですが,その他にも,自律神経症状(立ちくらみ,排尿困難・頻尿,便秘など)や精神症状(うつ症状など)がみられることもあります.これらの症状は進行性で,通常からだの片側に始まって次第に両側となります.
パーキンソン病の治療の基本は薬物療法です.レボドーパ(L-dopa)は脳内に取り込まれて代謝されてドーパミンになり効果を発揮するため,ドーパミン不足であるパーキンソン病の特効薬です.しかし,長期間服用していると,次第に効果時間が短くなり薬を服用して一定時間経つと効果が切れて動けなくなる「ウェアリング・オフ」や突然効果が切れて動けなくなる「オン・オフ現象」,また薬が最も効いているときにからだが勝手に踊るように動く「ジスキネジア」などがみられるようになります.
最近はそのような副作用がほとんどみられないことから,ドーパミンの代わりの役目をする「ドーパミン作動薬/ドーパミンアゴニスト」がまず使われることが多くなっています.
「定位脳手術」は決められた脳の神経核に細い針を刺して,数ミリの範囲を熱で焼いてしまう手術です.レボドーパが開発される前から行われていましたが,レボドーパの出現で一時期手術が減ってしまいました.しかし,レボドーパの長期の服用による副作用が問題となり,ふたたび定位脳手術が見直されるようになりました.その後,熱で焼く代わりに電極を入れて電気で刺激を行う「脳深部刺激療法」が開発されると,その高い効果と安全性から広く世界中で行われるようになっています.
(→詳細は「パーキンソン病の外科治療の現状」をご覧ください)