A:てんかんの外科治療の中で,切除可能な部分的な異常を有する症例や部分発作を有する症例には切除外科が大きな成果をあげています.それにくらべて,症候性全般性てんかんの患者は一般に発作症状や知的障害が重度で,外科治療に対する期待が大きいにもかかわらず切除外科の適応にはなりません.脳梁離断術 は遮断外科であり,このような症例に対する外科治療の一つとして確立され期待されています.焦点の場所が不明な例,焦点がいくつもある例など,切除外科が適応とならない患者に対して,左右の大脳半球を連絡する最大の交連線維である脳梁を切断して,てんかんが広く伝わらないようにすることで全般発作を抑制するものです. 発作抑制の効果は切除外科に大きくおよびませんが, 全般てんかんに対して適応を十分に考慮すれば,発作が完全に止まったり,発作が減る患者さんがいるため,現在では全般てんかんの有力な手術法とされています.
脳梁は左右の大脳半球を連絡する最大の神経線維の束です.最近の研究では女性の方が男性より脳梁の幅が厚いと報告されています.脳梁離断術で最も多く行われている前2/3の離断術という場合はおおよそ脳梁の前端から少し細くなっている部分までの範囲を示しています.一番後ろの膨大部は視覚や聴覚の認知や記憶機構に関係する交連線維がほとんど含まれており,脳の機能の重要な部分で,膨大部を含めた全脳梁離断術を行うと離断症候群という症状を出やすいことが良く知られています.
脳梁離断術は全般てんかんがその対象となりますが,対象となる症例は,片麻痺があったり知的障害が強いなど,重症例が多いのが特徴です.小児例での成績のほうが一般的によいことが報告され,失立・転倒発作といわれる頭から突然倒れるような発作を持つ例がもっともよい適応と考えらます.