慢性呼吸不全患者の栄養管理

はじめに

慢性呼吸器疾患の患者さんに,やせ型の体型の人が多いことが知られています.肺気腫,肺結核後遺症,間質性肺炎の患者さんに占める栄養障害の頻度は,それぞれ,74%,60%,35%と高頻度です.栄養障害が進むと,筋肉量が低下し,さらに呼吸機能障害が進行するという悪循環に陥るほか,免疫能の低下を招き,感染に弱くなってしまいます.

一方,上記疾患に占める肥満の頻度は低いのですが,体が重いことによる負担や,運動不足,糖尿病の合併などは望ましくありません.いずれにしても自分にあった食事をすることが必要です.ここでは,やせや栄養障害のみられる方の栄養処方を提示します.肥満の方は,エネルギー制限食になりますが,ここでは割愛します.


高栄養であること

高エネルギー・高たんぱく・高ビタミン・微量栄養素を確保することが基本です.目標カロリーは2200から2400kcalに設定します.しかし,多くの患者さんは,食事だけでこのカロリーを摂取することは不可能です.その場合は,栄養補助食品や,高栄養流動食を併用することで,できるだけ近づけます.


低塩食であること

塩分は10g以下に設定します.心不全を合併している場合は,さらに減塩し,飲水制限をする場合があります.


食事量に注意する

一度に多量多飲をすると横隔膜を圧迫し呼吸運動に負担をかけます.一回摂取量を減らし一日5〜6回に分けて食べるのが望ましいです.また,食事時間は規則的にすることが望ましいです.


消化しやすいものに

低酸素血症のために,消化管運動が低下している場合が多いです.消化しやすい食品を選び,消化しやすい調理方法をとります.


ゆっくりよくかんで食べる

食事の時に急いで食べる方は,動脈血酸素飽和度が低下していることがしばしばあります.また,急いで食べると胃の中に空気を飲み込んでしまい,おなかが張ることで,横隔膜の運動を制限してしまう恐れがあります.


食事環境

楽しんで食べられるような環境をつくりたいものです.食器に工夫をするだけで食欲もずいぶんと変わります.


便秘予防

朝食をぬかないように,また食物繊維もとりましょう.


香辛料・アルコール

いずれも少量は食欲を増す作用がありますが,多すぎは禁物.アルコールは,医師と相談してください.ただし,炭酸飲料(ビールなど)は消化管内でガスを発生するので,腹満につながります.やめた法がよいでしょう.