症状

はじめに

ご自分の状態を把握するため,また医師や看護婦などに状態を伝えるときに,症状をより正確に自覚し,表現することが大切です.


呼吸困難

呼吸困難をきたす原因はさまざまで,単に酸素が足りないという理由だけではありません.喘息症状の時のように息が吐きにくい場合や,肺活量が小さくなり頻呼吸になる場合,心理的な要因などさまざまです.

呼吸困難を表す尺度には次のようなものがあります.

Fletcher-Hugh-Johnesの尺度

1度:健康な同年齢の人と同じ仕事ができ,歩行や階段昇降も普通にできる.

2度:同年齢の人と同じに歩けるが,坂道や階段では息が切れる.

3度:平地を歩行しても息が切れるが,自分のペースでならば1km以上歩ける.

4度:休みながらでなければ50m以上歩けない.

5度:会話や食事でも息が切れる.

 

Borgの尺度

息切れの程度を10段階で表現します.


咳は,異物を排出したり,気道にたまった痰を排出するための,防御反射です.したがって,咳は必ずしも抑えればよいものではありません.しかし,過度の咳は,体力の消耗をきたしたり,胸痛をきたしたりするため咳止めを使用することもあります.

咳は,痰を伴う湿性咳嗽と,痰を伴わない乾性咳嗽に分けられます.

また,さまざまな疾患に伴って生じます.


痰は気管支腺からの分泌物や,白血球,細菌などが混じったものです.痰の性状(さらさら,ねばねば,どろどろ)や,色(透明,白色,黄色,褐色,緑色,さび色,血液混じり,全部血液など),痰の量によって,病態がわかります.

とくに,これまで色が付いていなかったものが,色が付いた場合は,細菌感染が併発した可能性があり,注意が必要です.痰を検査することがありますが,これは,痰の性状を調べるほか,細菌(一般細菌や結核菌など)の培養検査や,薬剤感受性検査.細胞診(悪性細胞の有無など)を検査する目的です.

ここに掲載した図は,帝人株式会社在宅医療事業部門が企画製作した「見てわかる呼吸リハビリテーション」から,許可を得て使用させていただいています.


喀血

血痰は,固まった血液になって排出されるものですが,喀血はさらさらの血液そのものが喀出されるものです.血痰に比べ出血の量が多いので,医師の指示を受けた方が良いです.


喘鳴(ぜんめい)

呼吸時(通常息を吐くとき)に,ヒューヒューいうことをいいます.気管支喘息の発作の際に聞かれますが,その他,肺気腫や気管の狭窄をきたす疾患で聞かれます.細くなった気道を空気が通過する際に出る音です.喉元でも聞こえることがあります.


むくみ

むくみの原因は,呼吸器疾患のほか,循環器疾患,腎臓疾患など多彩です.慢性呼吸不全の患者さんが,急に体重が増加したような場合,顔がはれぼったくなったり,足の甲や前脛部(すね)を指で押すとへこむ時は,むくみがあるときです.心臓に負担がかかっている可能性があります.


意識障害

呼吸不全の中で,II型呼吸不全(二酸化炭素が貯まっているタイプ)の方が,傾眠傾向になったり,訳の分からないことをいうようになったら要注意です.血液中の二酸化炭素濃度が限界を超えている可能性(CO2ナルコーシス)があります.