肺気腫の外科治療は“膨らんだ肺を小さくして(volume reduction)元の胸郭内に戻す”と言う発想からおこりました。肺気腫により大きく膨らんだ肺は呼吸運動に重要な役割を果たす横隔膜運動を阻害しています。この手術により横隔膜運動が正常に戻り、呼吸運動が楽にでき換気量が増え肺気腫患者の呼吸困難感を改善していることが解りました。
この手術は‘最大限の内科的治療にもかかわらず改善のみられない重症肺気腫患者’に施行されることになります。手術に当たってまず患者が禁煙を守れることが原則です。当センターでは内科と外科の合同カンファレンスにより手術適応を決定していますが、癌などの悪性疾患と異なり、必ずしも厳格な手術適応が存在するわけではないので、手術の危険性や合併症などを患者および家族に十分説明し、患者が手術を希望したときに手術が施行されます。
手術は全身麻酔下に胸腔鏡を用いて、まず片側から行います。これは開胸による呼吸筋の損傷を最小限にし、いち早く呼吸機能を回復させることが目的です。手術では入院から退院までは約4ヶ月必要となります。まず手術に先あたり2週間の検査入院(呼吸機能、画像診断、心機能、など)をしていただき、ここで手術適応があると判断されたときには次に4から6週間の術前呼吸リハビリテーションが必要となります。それから手術を行い(周術期は約4週間)、術後にはさらに約4週間のリハビリテーションが必要です。
呼吸機能は片側手術を受けた人の3-4割増、両側手術を受けた人で8割増くらいの改善がみられます。また自覚症状は片側手術の人でも8割の人が呼吸困難感の改善を自覚しています。